重症心身障害児は、重度の肢体不自由と重度の知的障害を重複する子供のことを指します。医学的な診断名ではなく、あくまでも児童福祉という行政上の措置を行うための定義として用いられている言葉です。
可能な運動機能の範囲は坐位まで、また知能指数で表すと35以下が重症心身障害児に当てはまります。重症心身障害児においては、近年、重症児の増加や障害の重度、重複化、在宅重症児の増加などが問題になっています。

訪問看護の現場においても、在宅重症児のケアを行う機会が増えてきています。実際に、小児医療の対象者の多くは、重症心身障害児と重度肢体不自由児です。重症心身障害児への看護ケアでは、重症心身障害児の生命を医療的に支え、安心、安全な生活を保障することが求められています。
医学的にみた重症心身障害児の特徴のひとつに、個人差が大きいというものがあります。重症心身障害児は、個別性が非常に高いのが特徴です。例えば、個人差が大きいものとして併存障害の病態や組み合わせが挙げられます。また、基礎疾患や年齢に対する変化、肢体不自由と知的障害の重症度も様々です。そのため、看護ケアの種類は多彩で、同内容でも難易度、リスクは非常に幅があるということを知っておくことが大事です。

一人ひとり違うため、健康管理や安心安全な生活を支援するにあたり、日常状態との比較がとても重要になってきます。医療従事者として、医療者として重症心身障害児の一番近くにいる存在だ、ということを念頭に置いてさらなる日々の観察を行うようにしましょう。